安い車検を考える
車検の総額料金について
一般に車検にかかる総額は基本料金や修理代以外に自賠責保険料や重量税といった税金や強制保険も含まれています。
従って仮に整備上問題がない場合で軽自動車5〜6万円台〜、一般車約8万円〜などで、車種や年式など、自動車の条件によって税金や保険の金額、整備上の問題など共に料金が違ってきます。
低年式や旧式のお車など整備上の問題が多い場合は総額が相当高くなるケースもあるので、結局、車検料金は一概には言えません。
年式が古ければ、古いほど、部品交換や修理の必要が生じてくる可能性は当然高くなります。
専門店や自動車工場の担当者がお客さんに対して車種と年式を聞くことが多いのは、このような理由からです。
車検を実地する店舗や工場の違いについて
車検を受けることができるのはディーラーだけではありません。専門店や一般修理工場、ユーザー車検代行業者など全国的にその数は無数です。その違いについて簡単に解説(下記参照)します。
車検費用をを安く抑えるのは良いことですが、お車の状態(走行距離や使用年数など)から店舗や工場を選択することも重要です。総合的に考えた上で費用を抑えながらも、状況に応じた車検店舗を選ぶのがベストだと考えます。
ディーラー車検
ディーラーとは「自動車販売会社」であり、その販売会社に車を持ち込んで受ける車検をディーラー車検といいます。ディーラーは料金が一番高いといわれる反面、整備上の確実性や信用も高いともいえます。
ディーラーの車検方法は大きく分けて※1指定工場(民間車検場)と※2認証工場となり、※1は整備後の検査まで全てを一つの工場で行え、※2は工場で自動車を点検・整備後、陸運局に車を持ち込み、車検を完了します。どちらがいいかは、一概にいえませんが、共に公道を運転できる検査をパスするわけですから、どちらでも良いと考えます。
一般整備工場
一般整備工場とは、自動車販売会社であるディーラーではなく、自動車の修理、板金、メンテナンスなどのサービスを行う自動車総合サービス工場のことで、自社メーカーの自動車のことなら強いディーラーと違い、程度の差こそあれ、あらゆるメーカー、あらゆるサービスを行える工場も少なくありません。
一般修理工場もディーラーと同じく国土交通省から許可のある指定工場と認証工場とがあり、全国チェーンを展開するクルマ専門量販店や車検専門店などもこの部類に属します。
ユーザー車検代行
自動車修理工場や専門店などプロの業者に頼まなくても、車検は誰でも陸運局で検査を受けて通すことができます。
ここに目をつけたのがユーザー車検代行業者です。信用度は別として安い価格を売り文句に所有者の代わって陸運局で車検を代行しましょうといったものです。
基本的には点検がなく、陸運局で検査ラインに自動車を通し、問題がなければ、その日から公道を走れるようにしてくれるのですが、全く点検をせずに行われる車検は危険です。一昔前ですが基本点検を一切せず、代行料だけで業務を遂行するユーザー車検業者が検査を終えて、陸運局を出て、すぐの信号に止まれず、事故を起こすといったニュースがありました。(その車はブレーキに問題があったということです)
このような事件以来、基本点検付きのユーザー車検代行が増えたように思えます。
決してユーザー車検は悪いわけではありません。業者を見極め、良心的なユーザー車検代行業者に頼めば料金は節約できますので、慎重に選べば良いものといえます。
また別の言い方をすれば、所有者が車に詳しく日頃のメンテナンスは自分で行い車検費用を安く済ませたいという方とっては向いています。
新車購入後の初回車検を受ける場合
自動車は2年に一回、検査を受けることを義務とされているのが日本の車検制度ですが、一般に新車を購入して、初回の車検までの期間は3年です。
新車の場合、その自動車がどうのように使われている(日ごろの点検や走行距離、その他)かにも寄りますが、新車で初回の車検は特に整備上で修理や部品交換をする可能性は低いです。
このため、初回の車検は、価格の安い専門店やユーザー車検代行を選び、徐々に自動車が痛み出してくる2回目(5年後)以降の車検をディーラーや一般自動車工場で受けるのも方法であると考えます。
様々な観点から車検費用を安くする方法
格安の車検工場に依頼することだけが費用を抑えるわけではなく、様々な視点から「安い車検」というものを考えてみました。
認証を受けてない整備工場は総費用が高くなるケースがあります
国土交通省(各地方運輸局)から認証を受けていない整備工場または代行専門店は基本料金と代行費を合わせても格安価格を提供することがありますが、整備上の問題があった場合は法律上、分解整備や修理、部品交換ができないため、正式な認証工場にパーツの交換を外注することが多いのが実情です。同じ整備工場で車検と同時に修理やメンテナンスをすることで、その修理費用が安くなることが多いことを考えると運輸局から許可を受けている認証工場、または指定工場で車検を受けることで結局、総額が安くなることは多いと思います。
日頃の運転の仕方で車検費用を安く済ませる
普段の運転でスピードを出したままカーブを走行したり、赤信号の直前で急激なブレーキをかけりすることを長く続けているとタイヤやブレーキパッドの摩耗が早くなることは明らかです。交差点はゆっくり通過し、赤信号の時は前もってアクセルを緩めて、ゆっくり走行しているクルマと比較すると2年間(車検有効期間)での摩耗の差はすごく大きなものになります。 その他、各パーツへの負担も考えて、普段から急激な発進、停止、ハンドル操作を避けて、余裕を持った運転を続けることで車検時にかかる修理やパーツ交換の費用を減らせる可能性が大きくなります。
走行中に異音や振動が出始めたら、早めに修理する
異音や振動の原因は様々ですが、車検までほっておくと結局、修理費用が高くつくケースがあります。例えばブレーキパッドの残量が1〜2ミリのまま走行を続けているとブレーキディスクローターを傷つけて、パッド交換だけで安く済ませられるのにローターまで交換することになるケースもあります。そのため、車に異常を感じた時は次の車検期間まで待たずに早めに自動車整備工場へ車を持って行き、点検することで余計な出費を減らせるケースも多くあります。
定期的に車を動かすことで各パーツの劣化を防ぐ
車を運転することなく長い期間、放置していると、劣化するパーツやオイル類がいくつかあります。鉄製パーツの固着やゴム製パーツの劣化、エンジンオイル、タイヤ、バッテリー等です。これらを防ぐために毎日、または、少なくとも週に1度は運転することで車検時の修理交換費用を安くできるのは明らかです。
※ 特にバッテリーが上がるとエンジンを始動することができず、修理のために自動車工場へ車を持ち込むことさえも難しくなるので注意が必要です。
外観の傷は板金塗装専門店で修理して車検を受けると安い場合があります
一概には言えませんが、ボディのヘコミの修理を車検と同時にする場合、同じ自動車工場へ出すより「安い」を売りにしている板金塗装専門店で修理をしてから、別の自動車整備工場に車検を依頼するほうが安い場合があります。それは「自動車整備を専門とする工場」と「板金塗装専門の工場」があるからです。整備を専門とする工場は板金塗装だけを外注するケースが多いので、外注した代行手数料分の板金修理費がかかる可能性があります。
また、フロントガラスのヒビ割れは車検に通らないので殆どの整備工場はガラス自体を交換しますが、小さな傷であればガラスリペア専門店で傷だけを修理すると車検費用を安くすることができます。